背景を大きくぼかし手前の被写体のみにピントが合った立体感のある写真。
背景の光をぼかすことでできる玉ボケ写真。
これらはF値(絞り)が大きく関わっています。
また逆に手前から奥までピントが合ったシャープな風景写真にもF値(絞り)が重要な役割を果たしています。
F値(絞り)を知ると一眼カメラならではのボケ具合やシャープさを簡単に表現できるようになります。
そこでこの記事ではカメラ初心者ならば一度は悩むこんな疑問を解決したいと思います。
- 背景を大きくぼかした立体感のある写真が撮りたい
- 全体的にピントが合ったシャープな風景写真が撮りたい
- F値(絞り)F4.0 F5.6 F8.0 F11….ってなんの数字?
- 絞り優先モード(Aモード)の使い方は?
とっても簡単なのですぐに実践できると思います。
こんにちは!カメラが好きで記事を書いているYogon(よーごん)です!
撮影モードは4種類ある
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今回はF値(絞り)と「絞り優先(Aモード)」にフォーカスをあてたいと思います。
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F値(絞り)はレンズに入る光の量を調節する
「絞り」とはレンズ内にある羽(絞り羽根※写真黄色矢印の部分)の開閉により、レンズに入る光の量を調整する部分です。
絞り羽根が開く(穴が大きくなる)と多くの光を通し明るくなります。
逆に、絞り羽根が閉じる(穴が小さくなる)と少量の光を通し暗くなります。
F値(絞り値)とは、この穴の大きさを数値で表したものです。
F4.0 F5.6 F8.0 F10 F11 F14…
このF値(絞り値)を自分で自由にコントロールできるのが「絞り優先モード(Aモード)」です。
またF値(絞り値)の数字を小さくすることを、「絞りを開く」と言います。
F値(絞り値)の数字を大きくすることを、「絞りを絞る」と言います。
F値を小さくする(絞りを開く) | 明るくなる |
F値を大きくする(絞りを絞る) | 暗くなる |
- 「絞り」= レンズに入る光の量を調整
- 「F値(絞り値 )」F4.0 F5.6… = 光が通る穴の大きさ
- 「絞り優先モード(Aモード)」= F値(絞り値 )F4.0 F5.6…を自分でコントロールできる撮影モード
背景をぼかして被写体を際立たす
F値(絞り値)の数字を小さくする(絞りを開く)と被写体のみにピントが合います。
背景がボケ、被写体が際立ちピントの合う領域は狭くなります。(被写界深度が浅いという)
一眼レフならではの大きくボケた写真はプロっぽくて憧れますよね。
手前から奥まで一様にピントを合わす
F値(絞り値)の数字を大きくする(絞りを絞る)と被写体も背景も一様にピントが合います。
手前から奥までピントが合い、くっきりとした印象の写真になります。(被写界深度が深いという)
このようにF値(絞り値)は光の量を調整するだけではなく、ボケ具合もコントロールできます。
ボケ具合で写真の印象がガラッと変わるのでとても重要です。
F値を小さくする(絞りを開く) | 背景がボケる(被写体が際立つ) |
F値を大きくする(絞りを絞る) | 背景も被写体も一様にピントが合う |
F値(絞り)と光量の関係
明 | 暗 | ||||
F1.0 | F1.4 | F2.0 | F2.8 | F4.0 | F5.6 |
1倍 | 1/2倍 | 1/4倍 | 1/8倍 | 1/16倍 | 1/32倍 |
上のF値の1間隔を“1絞り”と言います。
1絞る(数字が大)と光量は1/2になり、逆に開ける(数字が小)と光量は2倍になります。
ここまで気にしながら撮影しなくても全く問題ないですが、だいたいこんな感じかなと覚えておくと便利です。
レンズの性能を最大に発揮できるのはF8
レンズの性能を最大限に発揮できるのは「F8」と言われています。
<F値によるレンズの変化>
- 写真の画質(解像度)
- 写真の歪み(収差)
- 星など光の点を撮った時に点ではなく円盤のように写る現象
- 特に写真の隅が歪む現象
- 周辺部の明るさ(周辺減光)
- 写真の隅が暗くなる現象
一般的にレンズの性能は中心部が一番いいです。
レンズの周辺部は中心部に比べて性能が落ちてしまいます。
F値を最小値(開放)で撮影すると、絞り羽が大きく開くことでレンズの周辺部分も使用されます。
そのため解像度が落ち、写真の隅が暗くなったり歪みが起こります。
では、絞りを最大に絞ってF22などで撮影すると、レンズの中心部のみ使うから鮮明な写真が撮れるのでしょうか?
そうではありません。
F値は絞りすぎると光の回析によって解像度が落ちてしまいます。(画質の鮮明さが落ちてしまう)
レタッチソフトである程度修正はできますが、特別な意図がない場合はF値の絞りすぎには注意が必要です。
同じF値でも望遠の方が大きくボケる
同じF値でも、レンズの焦点距離によってボケ具合が大きく異なります。
下の2枚の写真は同じF5.6で撮った写真です。
1枚目は「焦点距離103㎜」
2枚目は「焦点距離300㎜」です。
望遠で撮った2枚目の写真の方が圧倒的に大きく背景がボケています。
シチュエーション別|F値の目安
F1.4~F4.0 (ボケを大きくしたい:ポートレート、花)
背景のボケを大きくし、特に被写体を際立たせたいときに向いています。
ポートレートや花の撮影などに向いています。
玉ボケもできやすく、ふんわり明るい印象になります。
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F4.0~F5.6 (ボケとシャープさがほどほど:スナップ写真)
背景のボケとシャープさがほどほどで、明るさも適度。
手持ちでもブレにくいので汎用性が高い印象です。
シャッターチャンスに集中したい、スナップ写真に向いています。
F8~F11 (全体的にピントを合わせたい:風景、夜景)
全体的にピントを合わせシャープに写したい、風景や夜景撮影に向いています。
F8はF値のなかでも特別な値で、レンズの持つ性能が最大に発揮される値と言われています。
レンズに入る光の量は少なくなるので自然光の少ない環境では手振れを起こしやすいです。
撮影環境によれば三脚があればベターです。
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F14~F22 (線を強調したい:太陽光、光の光跡、水の流れ)
とりわけボカしたくない特別なシチュエーションで使います。
手前から奥までしっかりとピントが合います。
スローシャッターで光の光跡や水の流れをシャープに表現したいときや、ギラリと光る太陽光などの撮影に向いています。
光量が少ないので手持ち撮影では手振れを起こす可能性が高いです。
特にスローシャッターで撮影する場合は、三脚が必要になります。
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カメラ初心者が絞り優先モード(A)で撮影するメリット
絞り優先モード(Aモード)はF値(絞り値)のみ自分でコントロールし、それ以外をカメラに任せる半分マニュアル撮影です。
(※マニュアル撮影:自分で全ての設定をコントロールする撮影モード)
一眼レフカメラの撮影で
- F値(絞り値)
- シャッタースピード
- ISO感度
これら3つは切っても切り離せない深い関係があります。
F値(絞り値)は明るさを調整できる機能を持っていますが、F値だけでは適正な明るさを作ることができません。
「シャッタースピード」「ISO感度」も関わり初めて適正な明るさで撮影できます。
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絞り優先モードが初心者におすすめな理由は、F値(絞り値)のみに集中してそれ以外をカメラに任せられるからです。
F値(絞り値)の変化による明るさやボケ具合を中心に知ることができます。
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絞り優先モード(A)の撮り方
- 「絞り優先モード(A)」に設定!
- まずはF値(絞り値)を大きくしたり小さくしたり動かしてみてください
- ※初めのうちはISO感度はAUTO(オート)でOKです
- 絞り(F値):F4.0
- 背景が大きくボケてます
- 絞り(F値):F8.0
- 絞り(F値):F11
- 絞り(F値):F18
- 手前から奥までピントが合っています
上の写真から分かるように
絞り(F値)の数字が小さいほど背景がボケ、手前の被写体が際立っています。
一方で、絞り(F値)の数字が大きいほど手前から奥まで一様にピントが合いクッキリとした印象になっています。
こんな感じでF値をどんどん動かし、背景のボケをコントロールしてみてください。
絞り(F値)の変化による明るさはどうでしょう?
下の2枚の写真で比較してみます。(ISO感度オート設定)
- 絞り(F値):F4.0
- ISO感度:ISO500
- 絞り(F値):F18
- ISO感度:ISO10000
ISO感度は光を電子的に増幅させる指標です。数字が大きいほど明るくなります。
写真左は絞りを開くため、F値の数字を小さくして撮りました。
F値の数字が小さいほど、光が通る穴が広くなり明るく写るのでしたね!
よって、写真右の絞り(F値)18と大きく絞ったものと比べると、低いISO感度500で適正な明るさで写せています。
写真右は、絞りを大きく絞った(F18)ことにより光が通る穴が狭くなり暗くなります。
その分ISO感度10000で明るさを調整されています。
写真左、右からF値による光の量の変化は一目瞭然ですね!
F値(絞り)について|Aモードの撮り方のまとめ
- 絞りを開く(F値:小)→ 背景がボケる
- 絞りを絞る(F値:大)→ 背景にもピントが合いシャープになる
- レンズの性能を最大に発揮できるのはF8.0
- 同じF値でも望遠の方が大きくボケる
F値(絞り) | シチュエーション別|F値の目安 |
F1.4~F4.0 | ボケを大きくしたい:ポートレート、花 |
F4.0~F5.6 | ボケとシャープさがほどほど:スナップ写真 |
F8.0~F11 | 全体的にピントを合わせたい:風景、夜景 |
F14~F22 | 線を強調したい:太陽光、光の光跡、水の流れ |
F値(絞り値)は光の量を調整するだけではなく、ボケ具合もコントロールできます。
絞り優先モードでF値をコントロールできるようになると写真の表現の幅がぐんと広がります。
ぜひチャレンジしてみてください。
最後まで読んでくれてありがとうございました!少しでも参考になれば嬉しいです!
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